ミーアの優しさは、捨てられたオモチャたちの心を解き放った。テディベアは、もう戦うのをやめると静かに告げた。他の人形たちも、彼に倣って武器を捨てた。
「君たちはどうするんだい?」
レッドファイターがテディベアに問いかけると、彼は首を振った。
「わからない。でも、もう誰も傷つけたくない。僕たちは、この物置のどこかで、静かに暮らしたいだけなんだ」
レッドファイターは、彼らの望みを叶えるべく、物置の奥にある使われていない引き出しを譲ることにした。そこは埃も少なく、穏やかに過ごすにはちょうどいい場所だった。
「これで、本当の平和が戻ってきたのか……」
ブルーファイターが安堵の息を漏らす。しかし、レッドファイターはまだ安心できなかった。ゼンマイ兵たちも、捨てられたオモチャたちも、自分たちを脅かす存在だったが、彼らの行動には明確な理由があった。しかし、この物置の世界には、まだ見えない脅威が潜んでいるような気がしていた。
その日の夜、レッドファイターは静かにミーアの元へ向かった。ミーアは、物置の棚の上で丸くなって眠っている。レッドファイターは、ミーアのそばにそっと座り込んだ。
「ボス……どうしてあなたは、いつも正しい選択ができるんですか?」
ミーアは、片目だけを開けてレッドファイターを見つめた。その琥珀色の瞳は、夜の闇の中でも不思議な輝きを放っている。
「ニャア……」
ミーアは、優しい声で鳴くと、前足でレッドファイターの頭をそっと撫でた。その瞬間、レッドファイターの心に、ミーアの過去の記憶が流れ込んできた。
ミーアは、かつて子猫だった頃、この物置で迷子になった。その時、まだ新しいゼンマイ兵や、輝いていた戦隊ヒーローたちと出会った。そして、彼は知ったのだ。物置の世界には、様々なオモチャたちがいて、それぞれの物語があることを。
やがてミーアは成長し、飼い主のネコとしてこの物置の番人となった。彼は、子供部屋で愛されるオモチャと、捨てられたオモチャ、どちらの物語も知っていた。だからこそ、彼はどちらにも寄り添うことができたのだ。
レッドファイターは、ミーアの過去を知り、その優しさの源を理解した。この物置は、ただの物置ではない。ミーアが守り、愛する、全てのオモチャたちの世界なのだ。
その時、物置のドアが静かに開いた。隙間から差し込む月明かりの中に、新たな影が現れる。それは、光を反射して輝く、ピカピカの新しいフィギュアだった。

「見つけたぜ、レッドファイター。この物置の全ては、俺様のものだ」
そのフィギュアは、冷たい声でそう告げた。レッドファイターは、新たな脅威が、今、目の前に現れたことを悟った。平和は、また遠のいた。

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