物置の中の戦争:第2話「捨てられた者の復讐」

Noise Cancellation|思考を静めるための純粋なフィクション。短編小説集

ミーアの登場によって、ゼンマイ兵の攻撃は一時的に収まった。しかし、物置の平和は脆い。物置の隅に積まれた、埃まみれの段ボール箱がガタガタと音を立てた。中から現れたのは、顔の塗装が剥がれ、手足がもげかけた人形たちだ。彼らは、子供に捨てられたオモチャだった。
「僕たちのことを忘れたのか?」
先頭に立つのは、片目がないテディベアだ。かつて子供に愛されていたであろうその姿は、今や憎しみに満ちている。
「君たちだけじゃない、僕たちも平和を求めているんだ。」
レッドファイターは説得しようと試みた。しかし、テディベアは耳を傾けない。
「もう平和なんていらない。この世界を壊して、僕たちの復讐を果たすんだ!」
捨てられたオモチャたちは、一斉にレッドファイターたちに向かって突進してきた。彼らはゼンマイ兵とは違う。過去の思い出という重い鎖を引きずりながら、ただひたすらに憎しみを撒き散らしていた。
ブルーファイターが「俺に任せろ!」と叫び、捨てられたオモチャたちを食い止めようとする。しかし、彼らの攻撃は止まらない。物置の隅に追いやられたレッドファイターは、自分の無力さを感じていた。
その時、棚の上から大きな影が、再びゆっくりと降りてきた。ミーアだ。しかし、今回のミーアは、以前と様子が違っていた。
「ニャアアァン……」
ミーアは低く唸ると、捨てられたオモチャたちに近づいていく。その瞳は、怒りではなく、深い悲しみを湛えているようだった。
「ボス、危険だ!」
レッドファイターが叫んだ。捨てられたオモチャたちは、ミーアにも襲いかかろうとした。しかし、ミーアはそれを避けるように、ただ静かに、テディベアの前に座り込んだ。そして、そっと前足でテディベアの頭を撫でた。
その瞬間、テディベアの動きが止まった。その目に宿っていた憎しみが、ほんの一瞬、揺らいだように見えた。

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「僕たちは…僕たちはただ、愛されたかっただけなんだ……」
テディベアの言葉が、物置の中に虚しく響く。ミーアは、まるで子供をあやすように、優しくテディベアに寄り添っていた。それは、力による支配ではなく、優しさによる解決だった。
この戦いは、人知れず、そして静かに終わりを告げた。レッドファイターは、ミーアの行動を見て、本当の平和とは何かを改めて考えさせられた。

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